続・正しい“好き”の伝え方






「アタタタ…」

 ベッドの上で身体を丸めて、しくしくと痛むお腹に手を当てる。自分の手の体温でほんの少し痛みが和らぐ。


「…ねえちゃん、バッカじゃねぇの」
「うるさいっ、出てってよ」

 ニヤケた顔で見下ろしてくる弟をしっしと追い払い、さらにぎゅっと丸まった。


 さすがの家族もアイスの食べ過ぎでお腹を壊した私の心配なんてしてくれない。ママは呆れ顔でさっさと買い物に出掛けちゃったし、にっくき弟はここぞとばかりに嫌味を連呼してくる。

 だって、スーパーのセールだったんだよ。コンビニで一本買うより断然お得だったんだもん。まあ、それを一気に全部食べちゃって、案の定お腹を壊したのは、百歩譲っても自分が悪いと思うけどさ。だって、好きなんだもん。好物なんだもん。夏の必需品なんだもん。…や、まあ季節は関係ないんだけど…。

 痛いときは寝てしまえと、タオルケットを巻きつけてぎゅっと目を瞑った。




 ふと目を覚ますと、いつの間にか増えている温もりに気づいた。自分の頭をゆっくりと掠める温もり。そっと見上げ、自分を覗き込んでいる人物に気づいて思わずビクッと身体が震えた。

「お、起きたか?」

 心配そうと言うよりも、呆れた表情を浮かべてアイツが言った。

「っな、なんで居るのよっ!?」
「お前なー、その歳でアイスの食い過ぎはないだろ?」
「だからなんで居るのっっ!?」

「お前の弟から電話もらってさ」

 …あ、あいつ、絶対しめたるっ。

「大丈夫か?」

と言いつつ、タオルケットをのけて私のTシャツの裾から手を入れた。

「…っちょっ、ちょっとおっっ」
「いいから、いいから」

 自分よりも大きな手が素肌に直接触れる。お腹を覆うように手を広げられると、そこからじんわりと温かさが広がった。正直気持ちが良い…。思わずうっとりとため息をついた私に、アイツがにやりと笑う。

「ったく、いくら食っても腹を壊さない大好物が出来たはずだろ?」
「…何よ、それ」

 言った瞬間、すっとアイツの顔が近づいてきた…。一瞬だけ触れた唇の感触。


「…な、な、な…」
「アイスよりも好きだって言ったのはお前だろ」

 固まった私に勝ち誇った顔でさらにキスをする。さっきよりも少しだけ長く。

 唇を離した後の顔がすっごく嬉しそうなのが、何だかとてもムカつく。それが滅多に見せることのない表情だとしても。

「…アイスの方が美味しいよ」

 まるで負け惜しみみたいな私の言葉に、アイツがまたニヤリと笑った。

「お子ちゃまめ」

 三度目のキスと同時にアイツが私を抱き起こした。唇から、身体から、温かさが伝わってくる。ぎゅっと抱きしめられるのは悔しいけど心地良い。

「…ちょっとはマシになったか?」
「…まだ痛いもんっ」

 しがみつくように抱きつくと、仕方ねえなぁなんて言いながら、抱きしめる腕にさらに力がこもった。


 痛みなんてとっくに治まってるなんて、口が裂けても絶対言うもんか。




 教訓

 食べ過ぎには気をつけましょう






おしまい



ツンデレですねw
典型的なツンデレ彼女です。

甘いヤツを書きたかったですけど、もうちょっと糖度が欲しいなぁ。
このカップルでは無理かっ。
甘いお題を借りてくるのが良いのかもしれないですねぇ…

今回も名無しでなんとかいけましたねw
この状態でどこまでいけるでしょうかっ。


2008年7月27日  小鳥 拝


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